LEDテールランプ
Mercedes-Benz C-Klasse W203
Heckleuchte
2010.8.31
ポン付けタイプのLEDテールランプ、ストップランプ、リアフォグランプを製作しました。今さらという感もありますが、キャンセラ抵抗を付けなくても球切れ警告が出ないように工夫してみました。
使用したLEDはOptoSupply社の赤色3ChipSMD OSR5MTS4C1A、および、赤色5mm砲弾型OSHR5161A-QRです。それぞれ、LEDパラダイスさんと秋月電子通商さんから購入しました。
WARNING: この制作記事は後期テールランプユニット用です。前期のユニットは形状が異るため、そのまま適用はできません。
2010.12.17
気温が零下になった夜、テールランプの球切れ警告が出てしまいました。テールの消費電力の設定が低すぎたようで、1.2Wから1.4Wに変更しました(LM317LZの24Ω抵抗をを20Ωに交換するだけです)。合わせて、このページの回路図や記述を変更しました。
2013.3.13
エンジンをかけずにイグニッションをオンにした状態では、負荷が増えることでバッテリー電圧が下がります。そのときにブレーキを踏むとブレーキランプがフラッシングすることがありました。球切れ検出動作のようです。
そこで、LM317PをLD1085P(低損失3端子可変レギュレータ)に交換しました。これで、消費電力が落ち始める電圧を11.0Vから10.3Vに下げることができました。これはいいですね!形状やピン配置が同じなんです。ちょっとマイナーなICですが、RSオンラインから購入できます。
写真1 |
テールランプ、ストップランプ、リアフォグランプともにLEDの構成は同じです。 ・3ChipSMD(120°) 4直列×8並列=32個(96灯) ・5mm砲弾型(60°) 4直列×2並列=8個 3ChipSMDを定電流で駆動しています。抵抗を使った電流制限に比べると次のようなメリットがあります。 発熱対策 電圧が上昇したときの消費電力の増加をかなり抑えることができます。 球切れ警告対策 ダブル球にした場合、他方に影響されて電流が変わることがありません。 |
写真2 |
まずは調査です。 写真はランプユニットの基板です。オリジナルでは、 A: ストップ … 21W B: テール … 5W C: フォグ … 21W のように点灯します。 球切れ警告が出ない消費電力の下限値を測定しました。 ・ストップ: 7.5W ・テール: 1.2W ・フォグ: 1.2W ←ちょっと意外。21W球なのですが… Aは普通のシングル球BA15sでストップ専用です。 |
写真3 |
Bのソケット部です。 口金のタイプはBAY15dです。21W/5Wのダブル球ですが、テール用の5Wしか光りません。ご覧のように21W用の端子板自体が無いんです。 |
写真4 |
Cのソケット部です。 ちょっと珍しいBAZ15dが入るようになっています。21W/4Wのダブル球ですが、こちらはリアフォグ用の21Wしか光りません。 しかし、4W用の端子板は存在しています。コネクタまでの配線パターンもあります。 |
写真5 |
さて、構想を練ります。 今回も、キャンセラ抵抗を使わずに球切れ警告をクリアすることにこだわります。問題はストップランプですね。7.5W以上のランプなんて、サイズや発熱を考えると無理… なら、2つに分けたらどうよ? ということで、次のような点灯パターンを考えました。 A: ストップ(4W) シングル球 B: ストップ(4W) + テール(0.7W) ダブル球 C: フォグ(2.5W) + テール(0.7W) ダブル球 対になっているランプのどちらか一方でも故障すれば、ちゃんと球切れ警告が作動する設計です。 |
写真6 |
さて、せっかくですので製作過程をご紹介します。ちょっと長くなります。 まず、3ChipSMDを4個並列に接続します。 1. 両面テープの上に同じ向きに並べて貼り付ける 2. 四隅にだけハンダを盛る 3. 砲弾型LEDの足を切ったものを用意する 4. それを両端の2箇所だけハンダ付けする 5. 残りのLED端子をハンダ付けする |
写真7 |
こんな感じに仕上がります。ペーストを使うとハンダがきれいに流れてくれます。 同じものを8個作ります。 |
写真8 |
次に、+側と−側を連結して2個直列セットを作ります。 写真のように45°の三角材で治具を作るときれいな八角形に仕上げることができます。 あとで微調整できるように、ハンダは両端2箇所だけにしておきます。これでも十分な強度があります。 |
写真9 |
2個直列セットを作ったら、さらに+と−を連結して4個直列セットを作ります。 |
写真10 |
最後に4個直列セット同士を接続しますが、+と+、−と−を連結することに注意。こうすれば4個直列セットが2つ並列に接続されます。 クリップを伸ばした線を用意します。これを最後に連結した−同士のラインにハンダ付けします。 |
写真11 |
クリップ線も両端の2箇所だけハンダ付けします。 クリップ線の一端は電球口金(−)に、他端は砲弾基板の−にハンダ付けすることになります。 このクリップ線はランプの背骨を兼ねていますので、太めのものを使った方がいいでしょう。 ここで形が歪んでいれば、連結部のハンダを溶かして修正しておきます。1箇所ずつ、少しずつ修正するのがポイントです。 |
写真12 |
電球口金は3種類必要です。 A(ストップ): BA15s B(テール・ストップ): BAY15d C(テール・フォグ): BAZ15d(BAU15d) このうち、BAZ15dの口金は手に入りませんでしたので、BAY15dを改造することにしました。 上側のピンを削り取って、150°の位置に太い銅線(屋内配線用VVFケーブル)を短く切ったものをハンダ付けします。 |
写真13 |
0.3mmの銅板を口金の内側にハンダ付けします。ここにレギュレータを貼り付けて放熱させます。口金全体を放熱板にしてしまうわけですね。 |
写真14 |
ストップ側のレギュレータにはLM317Pというプラスチックパッケージのものを使いました。背面を銅板に貼り付けるので、絶縁されていなければならないからです。 あらかじめ、写真のように抵抗をハンダ付けしておきます。 |
写真15 |
テール側のレギュレータにはLM317LZを使いました。 こちらも、写真のように足を加工して抵抗をハンダ付けしておきます。 |
写真16 |
口金の+端子に必要な配線を済ませておき、レギュレータを銅板に接着します。熱に強いエポキシ接着剤を使いました。 |
写真17 |
各レギュレータの入力端子に+側の配線をし、逆流防止用のダイオードをハンダ付けします。 |
写真18 |
砲弾型LEDは基板に並べると美しく整列できそうですが、いいものをみつけました。LEDパラダイスさんのT-20ウエッジベース専用基板です。ただし、3直列×3並列用ですので、ちょいと改造します。 写真の赤丸部分のパターンをカットし、LEDを写真の極性になるように配置します。中央にLEDは取り付けません。 最後にハンダブリッジすれば4直列×2並列が出来上がります。 LEDの隣同士で接触する部分を削らなければなりませんが、リューターを使うと楽に作業できます。 |
写真19 |
+側に電流制限抵抗をハンダ付けします。 次のステップでクリップ線をハンダ付けする場所は、写真左側のハンダブリッジになっている部分です。 |
写真20 |
3つのパーツを合体させます。。 3ChipSMDのクリップ線を口金にハンダ付けし、内部の配線を終えてから砲弾基板をクリップ線にハンダ付けします。 排熱のため、3ChipSMDの両端に3mmほどの隙間を開けました。 以上で完成です。お疲れ様でした。 あと5個作らなければなりません。がんばりましょう。 |
写真21 |
Bのストップ・テールランプですが、ソケットに端子板が無いので、ストップ端子に導線を直付けしてしまいます。 |
写真22 |
ソケットの隙間から導線を通して、ストップランプのパターンにハンダ付けします。これでストップランプが2個並列になります。 また、Cのテール機能を有効にするため、写真のように配線します。こちらもテールランプが2個並列になります。 |
写真23 |
3個のLEDランプを右側のユニットに実装したところです。 ランプの背骨はクリップ線ですのでガッシリはしていませんが、振動で曲がってしまうようなことはありません。ただ、取り付け・取り外しの際は要注意です。力を加えるのは口金部分だけにしておいたほうが良さそうです。 |
写真24 |
点灯した様子です。 左上: テールのみ 背景: テール+ストップ 右下: テール+リアフォグ ブレーキとテールの明るさの違いは一目瞭然ですね。テールが暗いように見えますが、実際には電球より明るいです。 --- さて、手間もコストもかかりましたが、それなりに満足のいくものができたと思います。よく使うランプなので省エネにもなりそうです。 しばらく使用して耐久性をチェックし、問題があればレポートする予定です。 |
図1 |
A: ストップランプ(シングル球)の回路図です。 電圧がもっとも下がったときに球切れ警告が出ないような電流値にしなければなりません。ここでは11.4Vで設計しました。 3ChipSMDには定電流(321mA)、5mm砲弾型には抵抗による電流制限(30〜48mA)で流れます。 33Ω抵抗が今回の技です。 このようにレギュレータと並列に接続すると、出力には影響を与えずに、レギュレータに流れる電流の一部を抵抗にバイパスさせることができます。つまり、レギュレータの発熱を抑えることができるわけです。負荷分散の手法として、参考まで。 |
図2 |
B: ストップ・テールランプ(ダブル球)の回路図です。 ストップでは全体が光りますが、テールのみでは砲弾型は光りません。 ストップからの入力はAと同様、3ChipSMDには定電流(321mA)、5mm砲弾型には抵抗による電流制限(30〜48mA)で流れます。 テールからの入力は定電流回路(63mA)を通して3ChipSMDに合流させています。同時点灯時は合算された電流(383mA)が流れます。 互いの逆流を防ぐためダイオードを入れます。今回は電圧降下を抑えたかったのでショットキータイプを使いました。 |
図3 |
C: フォグ・テールランプ(ダブル球)の回路図です。 ほぼBと同じですが、フォグから3ChipSMDへの電流を187mAに設定しました。ストップと違ってフォグは長時間点灯させるので発熱を抑えるためです。 フォグ点灯時はテールも同時に点灯しているので、結局249mA流れることになります。 左側ユニットはコネクタにフォグの配線が来ていません。ランプにはフォグ回路が不要なのですが、面倒なので右側と同じにしてしまいました。 |
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